お墓に一緒に入ろう

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お墓に一緒に入ろう

永年つれそった夫婦でも、お墓に一緒に入りたくないという人がいると聞く。
特に妻側からである。
死んでまで一緒はいやだそうだ。
では現実の暮らしでは、それほど我慢していたのかと思う。
それも気の毒な話である。
嫁姑のいさかいがあったのが原因、または、夫の女関係など、理由はさまざまであろう。
結局、愛がさめてしまったのだろうか。
それほどまでして一緒にいる必要はないであろうに。
結婚相談所に登録までして結婚した夫婦ですらそうなるのであろうか。
やはり結婚を全うするならば、仲よくお墓にまで一緒に入ろうということにつきるのではないか。
先に逝かれて、すぐ後を追う夫、あるいは妻も多い。

私の伯父夫婦だが、1昨年伯母がなくなったが、昨年は後を追うように伯父もなくなった。

二人とも癌を患っていた。
伯父はなくなる1か月前には、今はいない伯母の名をうわごとで呼んでいたとのことである。
それほど仲がいいとは見えなかったが。
夫婦の結びつきは、当事者でないとわからないものであるとつくづく思う。

やはりお墓に一緒に入り、生まれ変わってもまた一緒になりたいと思う人と、一緒になりたいものだ。
生きているうちにはわからない感情もあるかも知れない。
空気のような存在で、いなくなって初めて、大切な人だったとわかる。
生きているうちは、きむずかしくめんどくさい夫でも、いなくなってみれば、案外やさしい夫だったとわかったりする。
毎日くちやかましく指図し、あれがいけない、これもだめと駄目だしばかりしている奥さんでも、いなくなると口やかましいのは、愛情の裏返しだったとわかったりする。
やはり一緒に暮らした夫婦でなくてはわからない関係があるものだ。

わたくしの母は、めんどくさいと言いながら、父の好物を買い求めている。
いかの塩辛や、松前づけ、たらこ、塩鮭など海の幸だ。
海のない町では、貴重な食材だ。
このような日常生活にこそ、本当の愛情が現れるのではないだろうか。



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